きよミルクに懸けた夢

あだたらのちち株式会社 代表取締役 千葉清美 さん

県知事へ表敬訪問する千葉さん

第5回 千葉清美、天国から地獄 
起業ジェットコースター スタート!

大玉村の直販所で評価を上げて、ファンを掴んだきよミルク。直販所だけの販売ではお客様の顔や声に触れられないと、工場での直販を2019年秋に開始します。
ただソフトクリームの季節は春から秋なので、千葉さんには少し時間ができてきました。
そこで無謀なことを考えます。福島県が主催する「ふくしまベンチャーアワード2019」への応募です。自分がきよミルクに何年間も込めてきた思いを熱烈なプレゼンテーションで表現したところ、結果は最優秀賞を受賞。
一躍、マスコミで取材されるようになり、ラジオなどの出演、県知事への表敬訪問など、輝かしい日々が始まりました。
実はその裏で、不幸が覆面パトカーのように待っているとも知らずに・・・

2020年の春。3月になると今シーズンの準備が始まります。工場での直販は冬の間も続けていましたが、やはりメインは春から。昨年お世話になった大玉村の直販所に、「今年もお願いします!」と元気に挨拶に行くと・・・まさかの「取引停止」。
「きよミルクは扱わないことになったから。」という一言だったそうです。原因は色々あったとは思いますが、千葉さんはここで「きよミルクを扱いたいという人やお店と一緒に販売していく。」と事業を方向転換します。

地元紙に取り上げられる千葉さん

そして、それを助けてくれたのが、起業しようと一生懸命勉強していた時代に知り合った仲間たち。「きよミルクを守ろう!」を合言葉に、多くのマルシェ等への出店の声掛けや、扱ってくれるお店の紹介など、たくさんの仲間に支えられます。
そんなネットワークから通信販売もスタートします。
アイス評論家として著名なシズリーナ荒井さんに出会ったのもそんな時。きよミルクを絶賛してくれ、多くのメディアに取り上げて頂きました。(おかげで通信販売は1カ月先まで売切れで、在庫を表示すると数分で完売になるそうです。)
千葉さんは、こう言います。「人脈が一番大事だと思います。結局、最後は人と人の繋がりに助けてもらいました。」

イベントに出店する千葉さん(右)と起業仲間

支援者の一言

千葉さんが多くの困難(ここに書いていない困難も沢山あります)にも負けずに事業を継続して行けるのは、千葉さんが言うように多くの人の支えもありますが、一番は千葉さん自身がブレないこと。負けないこと。諦めないこと。だと思います。
でもそれができているのも、根本は「きよミルクが本物であること」だからです。きよミルクが本物だからこそ、守りたいという人が多数出てくるわけです。
多くの起業・創業を目指す方が相談においでになります。御自分がやりたいことを熱心にお話になります。でも、それは今、世の中で提供されている商品やサービスと何が違うのでしょうか。そこが説明できない方が多いです。
今までにない価値を創り出すこと。今までではできなかったことを可能にすること。今まででは利用できなかった人が利用できるようになること。起業とは世の中に新しい価値を生み出すものだと気づいて頂ければと願います。

支援者の顔

  • 氏名: 新城榮一(シンジョウエイイチ)
    (JBIA認定シニアインキュベーションマネーシャー)
  • 所属等: 福島駅西口インキュベートルーム 統括マネージャー
  • 支援可能な地域: 県内全域
  • 実績等:自身が多くの起業体験・企業経営を行っており、だからこそできる“知見深く論理的で活きたアドバイス”が支援している企業の事業継続と成長を促してきた。
    これまでに東北大学大学院経済学研究科特任准教授、福島県立医科大学復興推進課経営アドバイザーなどを務め、現在は(一社)日本ビジネス・インキュベート協会(JBIA)理事・事務局長に就任している。創業・ベンチャー国民フォーラムJapan Venture Awards 2008起業支援家部門奨励賞受賞。第1回スタートアップ・アドバイザー・アワード審査委員特別賞受賞。
  • 参考: 福島駅西口インキュベートルーム https://incu.jp/