きよミルクに懸けた夢
あだたらのちち株式会社 代表取締役 千葉清美 さん
第4回 千葉清美、仲間たちとのコラボレーション
千葉さんは大玉村の直販所でソフトクリームを販売すると同時に、様々な地域マルシェへの出店を開始しました。と言っても、ソフトクリームはとてもデリケートな食品です。例えばソフトクリームの製造マシンを車に積んで移動販売・・・なんてことはまず無理。ソフトクリームの製造マシンは据え付けた後、調整などに半日も掛かる難物だそうです。
そこで千葉さんは「自社でソフトクリームを凍らせて輸送する」ことを考えます。これにより地域マルシェに持って行って販売することも可能になりました。出店した先でも大好評!
売り切れが続出して、「もっとたくさん持って来て!」と嬉しいお声をいただいたり、「ウチの店で継続的に販売したい」という申し込みも入ってきました。
愉快な仲間たちとの出会いもそんな中から。郡山で観光ブルーベリー農園を営む方からブルーベリーをトッピングした新商品の提案など、商品の多角化が始まります。
そして一番大切な御主人の姿勢の変化。御主人は当初、千葉さんの起業には「反対はしないが賛成もしない」という極めてニュートラルな立場だったそうです。御主人は御主人で一家を背負って仕事をしているのですから、当たり前といえば当たり前です。
それが、千葉さんが悩み苦しみながらも徐々に成果を出し、世の中に認められるにつれて変化して行きました。
今は千葉さんに「巻きが甘い」と言われながらもソフトクリームを作ってくれます(言う方も言う方ですが・・・)。力仕事の生乳の運搬やマルシェへの出店などの販売も積極的に手伝ってくれるようになりました。
千葉さんに関わる多くの人がいてくれて、千葉さんの事業は発展していきました。
支援者の一言
私の目から見てもソフトクリームという商品は、非常に難しい商品だと思います。
まず「作り置きができない」。だから「お土産にもできない」。その上で「季節商品」。色々な場面で「メインにはなり難い」。甘くて冷たいという制約があるので「他との差別化も非常に難しい」。等々、事業として考えた場合にネガティブな面が強い商品だと思います。
逆に言えば、だからこそイノベーションは生まれていない。旧態依然とした業界の慣習の上で成立している。そこを打ち破れば風穴を開けることもできなくはないとも思います。
しかし、読まれている方が既にお気づきのように、多くの既存権益や業界体質、業界常識と闘っていかなければならないというイバラの道の選択となるわけです。
そんな時に家族がどう支えてくれるかというのは、起業者にとってとても大事なことです。私は御相談があると大抵は御家族の反応を確認しています。御家族がどう思われているか。賛成か反対かだけではなくて、今までその方が御家族とどう向き合って来たかを示してくれるからです。御家族の協力が得られるということは、支援する側としても大きな力となってくれます。
支援者の顔
- 氏名: 新城榮一(シンジョウエイイチ)
(JBIA認定シニアインキュベーションマネーシャー) - 所属等: 福島駅西口インキュベートルーム 統括マネージャー
- 支援可能な地域: 県内全域
- 実績等:自身が多くの起業体験・企業経営を行っており、だからこそできる“知見深く論理的で活きたアドバイス”が支援している企業の事業継続と成長を促してきた。
これまでに東北大学大学院経済学研究科特任准教授、福島県立医科大学復興推進課経営アドバイザーなどを務め、現在は(一社)日本ビジネス・インキュベート協会(JBIA)理事・事務局長に就任している。創業・ベンチャー国民フォーラムJapan Venture Awards 2008起業支援家部門奨励賞受賞。第1回スタートアップ・アドバイザー・アワード審査委員特別賞受賞。 - 参考: 福島駅西口インキュベートルーム https://incu.jp/
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