きよミルクに懸けた夢

あだたらのちち株式会社 代表取締役 千葉清美 さん

千葉さんが造るきよミルク

第2回 千葉清美、突然起業を思い立つ(2)

そんな千葉さんの身に、今度は不幸が襲いかかります。2012年、いつ死んでもおかしくないような大病を患います。集中治療室に3日間。生存確率は10%位だったそうです。
その2ケ月後に、実の娘のように可愛がっていた姪御さんが19歳で急逝されます。姪御さんはパティシエを目指して、まさに「人生これから」という時の急死だったそうです。
そこで千葉さんは「神の啓示を受けた」と言います。「どう考えても死んでいた自分が生きて、死ぬはずがない姪が死んだというのは、私には何かしなければならないことがこの世にある」という想いでした。
それが「地元の生乳を使ってソフトクリームを造れれば、地元を救えるかもしれない。パティシエになりたかった姪の夢も叶えられる。」というものでした。

ご主人とジャガイモを収穫する千葉さん

千葉さんが素晴らしかったのは「自分には食物に携わる仕事や勉強の経験がない」と気がついたこと。(「今頃、気づくな」という声はあると思いますが、ドラえもん型の特徴です。)
まずは「勉強」そして「経験」。
勉強としては「ナチュラルフードコーディネーター」の資格を取りました。そこで添加物や農薬を使わない製品を造りたいと思うようになります。そしてアイスクリームやソフトクリームに関する書籍を片っ端から読破したそうです。どうやって作るのかの講習会にも県外まで出かけました。
経験としては二本松市にあるカフェに就職。身体を壊すまで修行したそうです。
千葉さんの当時の頭の中では、起業に必要な要素は「知識・経験・人脈・資金」の4つ。知識と経験を身につけた千葉さんは、人脈を得るために各地の起業セミナーに通うことになります。
セミナーに通った際に、良いこともヤッチマッタこともあったそうです。良いことは、何と言っても人脈ができたこと。ヤッチマッタことは、変なコンサルタントに引っ掛かってウン十万持って行かれたことなど。

起業者の千葉さん(中央)と支援者の私(右)。左は良き理解者で協力者の 千葉さんのご主人。

支援者の一言

実は私も起業者であり、30年程前に死ぬような大事故を起こしています。二本の足で普通に歩けるのは奇跡と言われた位で、その時に「これは、私にはこの世で何かしらヤラナケレバならない事が残っている」ということだと認識しました。
そのような体験は必須ではないですが、起業後のとてもツラい時にその時の想いが支えてくれたのも事実です。
反対に「私って起業した方が良いでしょうか?」などと訊いてくる人もいます。その時は必ず「それは自分で決めてください。」とお答えしています。なぜなら「私が起業した方が良い」と言うと、起業後のツラい時に「今、ツラい思いをしているのは、あの時に新城が勧めたからだ。」と思うからです。起業は目の前の川にかかる「滑りやすい丸木橋」を渡ることだと思っています。渡るかどうかはご自身で決めてください。渡った方には全力で支援いたします。橋のたもとで悩んでいる方、周りに居ませんか?

第3回に続く…