「差別化が難しい業界で差別化を創造するイノベーター」
株式会社セドラホーム 加藤 彰さん

入居している「福島駅西口インキュベートルーム」

株式会社セドラホームは、福島駅西口に県が設置する「福島駅西口インキュベートルーム」に入居する不動産業(宅地建物取引業)の会社です。不動産屋さんというと、法律でガチガチにやることも決められているし、他社との差別化なんて難しいんじゃないかなと思っていたのですが、この会社は宅地建物取引業の枠を乗り越えて「お客様の困ったを助ける事業」を展開しています。

Q:最初に加藤さんのプロフィールなどを教えてください。

1971年福島県福島市生まれ。大学で東京に行って、その後、土木資材を扱う商社に就職し、そこで一級施工管理技士を取得しました。札幌、秋田、東京、大阪勤務と福島を離れていたのですが、ちょうど10年前、2011年の東日本大震災の年に福島に帰ってきました。

カンボジアの町シェムリアップで行なったボランティア
Q:なんで不動産事業を行うようになったんですか?

建設関係の仕事をしていたので不動産の世界も興味は持っていましたが、特に強烈な経営者に出会ったのが、不動産業を始めようと思った直接的なキッカケでした。その強烈な経営者の下で修業して、資格(宅地建物取引士)を取得し2019年に独立しました。
自分の性格から、自分のペースでできる仕事にしたかったんです。不動産業界は自分一人あるいは少人数でも自分のペースで仕事ができるのではないかと感じていました。どうしても大きな組織で動くと、目の前のお客様よりも組織の論理が優先してしまうこともあったりしましたので。自分は目の前のお客様に幸せになっていただける仕事をしたいと思いました。
まあ、修行先の物凄いパワーの経営者の影響も大きかったです。

どんなことでも相談できる打合せスペース
Q:不動産業以外に、今の空き家整理、遺品整理を立ち上げたのはなぜですか?

ビジネスの面から考えれば、不動産業界はかなり法律にがんじがらめになっている業界なんです。その意味でいわゆるビジネスモデルのイノベーション(革新)はなかなか起こせないと思ったんですね。
地域を見た時に少子高齢化が進んでいて、福島は震災からの復興という大きなハンデも背負っている。震災後の福島を空き家だらけにするのではなく、ある資産を有効に活かして人に戻ってきて欲しいと思ったんです。
じゃあ、そのような悩みで困っている人を探そうと考えました。そうしたら震災後の状況の中で御主人が亡くなって整理に困った家とか、ゴミ屋敷になってしまった家などがたくさんあることに気がついたんです。

Q:結果的に上手くいっていますか?

ご存知のように不動産業界はお金の単位が大きい業界です。家とか土地とかの売却は、普通の人ならば一生に一回、あるかないかの世界なんです。
それから比べたら空き家整理、遺品整理の仕事はお金の単位でいうとゼロが3つも4つも少ない世界です。
そこで誠実に対応して片付けをしていると、綺麗になった家やマンションを「そのまま加藤さん、お任せするから売って欲しい」とか自然に流れができたりするところが面白いんですよ。
自分としては「まったくお金の単位が違う世界なのに任せて大丈夫なのか?」と逆に心配になったりするのですが(笑)、「いやいや、加藤さんの仕事ぶりなら安心して任せられる」と言っていただけると、やはり「頑張らなきゃ」とハリキリますね。

セドラホームのかわいい看板
Q:どんな仕事を目指しますか?

私が取り扱った物件で、接面道路の関係でものすごく条件が悪くなってしまう家があったんです。90歳を超えたお婆さんがお一人で住んでいて、身体の具合もあまり良くなく、早くこの家を売却して娘さんの所に行きたいのに、どこの不動産屋さんに頼んでも断られていたんだそうです。そんな時にご縁があって、間に入り、近隣にも協力をしてもらい何とか売却することできました。その時にお婆さんに感謝してもらえたのが忘れられず、これを一生の仕事にして行こうと思いましたので、目指すところは「人に感謝される」仕事ですね。
加藤さんとお話をしていると、ご遺族やお子さんがどうしてこの人に遺品や空き家の整理をお願いしようとするのかが分かります。見た目もお話しぶりも誠実そのもの。「この人ならば・・・」とお客様を納得させてくれる何かをお持ちなのだと思います。
聞けば多忙な業務を縫って、10月は3週間ほど遺品整理の研修に行かれたそうです。自分を磨いて精進するその姿勢に魅せられます。

株式会社セドラホーム

住所:福島県福島市三河南町1-20 コラッセふくしま6階インキュベートルーム
問い合わせ:024-563-7797
営業時間:9:00~18:00(水曜定休)

加藤 彰さん

取材者の声

  • 物静かで誠実さが溢れ出る話しぶりの中に、「本物の仕事をする」「プロの仕事をする」という気概を感じる起業者です。
    不動産という、ある意味で一生ものの買い物をする時って、何を買うかもそうですが、誰に頼むかが大事だと感じさせてくれます。
    事業が大きくなっても「目の前のお客様に幸せになっていただける仕事」を守っていってもらいたいと思います。
  • 参考:福島駅西口インキュベートルーム https://www.incu.jp/

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