「よし!やるぞ!」と決心して起業
お客様とのつながる縁が成功の秘訣
おでん・小料理 おかめ 女将 川又美江さん

 6月とは思えない暑い日が続く中「おでん屋さんは正直どうかな?」と思いながら、取材にうかがいました。そこで女将さんのお話を聞けば聞くほど、この夏に「このお店のおでんを食べてみたい!」と思わせる説得力とパワーを感じたのです。
 2024年の秋にオープンしたお店ですが、すでに超人気店。いまや予約しないと入れないお店になりつつあります。
 そんなお店を始めたのが、女将の川又美江さん。人生の一大決心を経て「確信がなくても絶対に上手くいく」と起業した姿を取材しました。

Q:まずは川又さんのプロフィールを教えてください。

 生まれは東京都江戸川区で、30歳まで東京で育ちました。ちゃきちゃきの江戸っ子です。
 短大を卒業した後は、そのまま東京の会社に就職しました。両親が営んでいた飲食店にいらっしゃるお客様の中にカッティングシートの会社で働いてる方がいらっしゃって「うちの会社で働かないか?」と声を掛けてくださり、就職先が見つかったのです。ちょうど就職氷河期の真っただ中だったこともあり、本当に助かりました。
 ただ、その会社は超体育会系だったので、お酒を飲みながら外に出て腕立て伏せをやらせるといったこともありました。いまの若い人にはちょっと想像できないような会社でしたね。当然、飲み会も多く、そこでいろいろと鍛えられました。

お店自慢の美味しいおでん
Q:お店の顔でもある「おでん」と出会ったきっかけを教えてください。

 おでんと出会ったのは、父方の叔父が東京で有名なおでん屋を経営していたことです。叔父が営んでいたのは某コンビニエンスストアがおでん開発の際に監修を行ったほどの名店で、両親はそこで修行して実家の近くにおでん屋を開業しました。その店の名前が「おかめ」だったので、この店は2代目に当たります。
 お店が忙しかった中学から高校時代は、否応なくお店を手伝うことになりました。楽しいはずの青春時代は、ほとんどおでん屋を手伝っていた気がします。

Q:東京で経営していた「おかめ」が会津若松市に移転したという形で起業されたのでしょうか?

 いえいえ全然。ここからは私の根性物語となりますので、お付き合いください。
 ちょうど2000年代に入るころ、母の弟が亡くなったのです。母の弟は会津の下郷町で建設会社を経営していたのですが、だれかが継がなければならなくなったので、母の実家がある下郷町に移住することになりました。
 私は東京に残ったのですが、そのうちに父が亡くなって母が1人になってしまったのです。そこで私も下郷町に移住することになりました。
 引っ越してから仕事を探しましたが、地方ということもあって幅広い仕事がそろっている訳ではありません。ただ、いくつかの仕事の中で「仲居さんをやってみたい」と思い、芦ノ牧温泉の某ホテルで働き始めたのです。
 それが思いのほか性に合っていたのか、とんとん拍子で出世しまして、ルーム長まで任せていただけるように。しかしハードワークすぎて体がもたなくなってしまったので、一度職を離れることにしました。
 すると、それを聞いた別のホテルからスカウトされまして、最初はフロント、そこから女将代理、最後は女将としてホテル全体を仕切っていたのです。
 しかし、この職場も大変でした。当時は従業員を少なくして運営していた時期だけに、現場にも出なければならず体もきつかったです。何よりも女将の最大の仕事がクレーム処理だったので、精神的にも大変でした。
 そういった難しい状況の中で「いっそ起業しよう!自分のお店を持とう!」と思い立ったんです。

秘伝のレシピを守り抜くために出汁にもこだわっている
Q:いきなり「起業しよう!」と考えたのですか?

 はい、いきなりです。でもお店を持つにしろ「普通の居酒屋はどうかな?」と考えていました。ほかのお店と何を変えていけばいいのか、ずっと考えていましたね。
 料理の修行などを本格的にやっていたら、また話が違ったかもしれません。しかし、そういう考えもなく思い立ってしまったため、最終的には小さいころから馴染んでいた「おでん」に行き着いたのです。
 秘伝の味とレシピは母が覚えていたので、そこは母に教わりました。理由はほかにもいくつかあって「会津ではおでんを看板にした店が少ない」「自分には初代おかめの味という他店にない財産がある」「確信はないけどおでんブームが来そうだ」・・・そういった状況から起業を目指そうと考えたのです。

両親のお店から受け継いだ「おかめ」の名前
Q:よく思い切って起業しましたね。

 区切りの歳になったときに「よし!」と一大決心しました。残りの人生は楽しい方が絶対にいいですし、楽しくするためには自分がやりたいことをやるべきでしょう。それは「うまくいく」と思わなければできませんから「絶対大丈夫!」と思い立って行動し始めました。
 私の生き方をひと言で表すと「何とかなるさ!」です。失敗しても失敗と感じないところがあるのですが、これは「起業するには大事なところかな」と思います。
 短大時代にオランダへ1年間留学させてもらったのですが、帰ってきてから母に「心が広くなった」と言われました。合わせて体も大きくなったのですが(笑)、まさに「可愛い子には旅をさせよ」ですね。

おでん以外の一品料理も美味しい
Q:起業する前に「やっておけばよかったかな?」と思うことはありますか?

 広報活動ですね。オープンする前にもっとお店を宣伝する必要があったと感じます。
 オープン当初はよかったのですが、その後なかなか思うように足を運んでいただけず、冬に入るころには心が折れそうになりました。
 客商売を始めようという方は、十分力を入れておいた方がいいと思います。

Q:最後に、これから起業する方へひと言お願いします。

 お金を含めて念入りに準備してください。私は運よく福島県の創業補助金などを活用できましたが、それでも相応に大変でした。特に補助金は後から入ってくるため、資金繰りには余裕が必要です。
 私は資金があまりない状態でスタートしたので、途中で本当に辛くなりました。精神的にも物質的にも、十分に準備することが大切ですね。あとは自分の決心を信じましょう。大丈夫!何とかなります!

おでん・小料理 おかめ

住所:福島県会津若松市栄町8-13 三光町リンクプラザビル2F
TEL:080-9636-5636
※予約はインスタグラムのDM、もしくは電話で
営業時間:17:00~23:00 (ラストオーダー22:30)
定休日:月曜日
御座席:カウンター7席、小上がり8席

取材者の声

  •  実は取材前に何度か、客としてお店にうかがっていました。最初のころは、美味しいおでんとお惣菜のお店だった気がします。ところが今回おうかがいしてみると、かなり洗練された居酒屋料理に進化していました。
     強い意志と度胸で起業された女将ですが、その一方で日々精進されている様子。それが料理の進化や客数の急増という形で、成果に表れています。お客様が増えた理由を尋ねると「お客様がお客様を連れて来てくださるのです」とほほえみが返ってきました。
     「お客様がお客様を連れて来る店」という言葉は、まさに成功する秘訣ですね。起業を目指している方はぜひ一度、美味しいおでんと女将に会いに行ってみてください。その際は予約を忘れないように!

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