細やかな技術と接客で1人1人に合った美を追求
流行のコスメや新たな施術も積極的に取り入れて展開
まつ毛施術 アイラッシュサロンポラム
代表 菅野真生さん

7年のキャリアを経てまつ毛サロンを開業した菅野真生さん

 2023年8月、福島市にアイラッシュサロンポラムを開業した菅野真生さん。わずか17歳で美容師免許を取得するほどの努力家で、24歳にして独立を果たしました。
 開業したのは、まつ毛や眉毛をケアするサロンです。菅野さんは細やかな技術による仕上がりとお客様に合わせた対応にこだわっていることもあり、ユーザーリピーター率も高いのだとか。市外から来店する方も多く、すでに2023年中は予約でいっぱいになっているそうです。
 起業前には美容師としても働いていましたが、この分野を知ったことで専門技術を磨いてきた菅野さん。起業までのいきさつや日々のやり甲斐などについて、お話をうかがいました。

Q:まずは菅野さんのプロフィールを教えてください。

 出身は飯舘村なのですが、暮らしていたのは小学5年生まで。東日本大震災による川俣町への避難から始まり、各地を転々としてきました。福島市では16歳のころから暮らし始め、就職後に一時離れていたものの、今回の独立開業を期に戻って来た形になります。
 美容系に進んだきっかけは中学校時代、不登校になったこと。中1までは通っていましたが、友人関係の悩みで中2から通えなくなったのです。周囲に反抗していた時期もありましたが「何とか自立したい」という思いもあって、悔しかったですね。
 そんなときに美容室で髪を染めてもらったのですが、きれいに仕上げていただいたことで気分も上がったのです!見た目が変わったことが自信にもつながり、私も「こういった技術で落ち込んでいる人を助けたい!」と考えるように。母親が以前、美容師として働いていた影響もあってこの道に進みました。

真新しい機材や什器が並ぶアイラッシュサロンポラムの店内
Q:その後、美容師資格の取得や独立開業まではどのような経緯があったのでしょうか。

 当時は同級生たちが高校に進み、さらに難しい勉強に取り組み始めていたころ。私も負けたくなくて福島県高等理容美容学院に入学し、美容師を目指すことにしました。一般的には高校を卒業してから学ぶケースが多いのですが、私の場合は中学を卒業してからの入学。17歳で美容師免許を取得し、無事卒業することができました。
 その後は福島市で就職し、美容師として働くことに。しかし2年ほど働いた後、南相馬市にあるビューティーサロンに転職。ここでまつ毛や眉毛のケア、施術、セットなどの技術を本格的に身に付けることになりました。そこでキャリアを積んだ後、2023年8月には福島市に戻ってこの店舗を開業。母校の近くで営業しています。

Q:起業に当たって大変だったことがあれば教えてください。

 起業時に大変だったのは、やっぱりお金の面ですね。以前から開業に向けて自己資金を準備してきましたが、不足分を日本政策金融公庫さんに支援していただいたのです。南相馬市のサロンの店長や福島商工会議所の方を通じてご紹介いただいたので、本当に助かりました。
 またサロンの上司や先輩には、料金設定や仕入れ価格についてもご助言いただいています。当時は安くすればお客様が来ると考えていましたが、技術に見合った料金でなければ納得が得られないと教えていただきました。今は料金設定だけでなく、なぜこの金額なのかという理由の伝え方にも注意しています。お金の面については現在も勉強中です。資金繰りや確定申告の本を読んで必要な知識を身に付けています。
 このほか事業計画についても「作ってみてよかった」と実感しました。実際に書き出すことで自分が目指す事業や店舗の形が明確になり、逆に足りない部分についても気付けたと思います。

細やかな手つきと明るい口調で施術に取り組む菅野さん
Q:起業してみてよかったことは何でしょうか。

 起業してよかったことを挙げるなら、やはり自分の店舗で自分のやりたいようにお客様に対応できることではないでしょうか。自分のやり方でお客様のお話をうかがい、提案できることは大きな魅力だと思います。と言うのも、就職している場合は店舗ごとに説明や施術のやり方、提供するメニューなどが決められているのです。たとえ自分なりによりよい手法を見付けても、店舗のスタイルに沿わないと認められません。
 その点、自分の店舗であれば説明も施術もメニューなども自分で決められます。休みや営業時間も決められるので、勉強したり遊びに行ったりする時間も確保できるのです。
 そういった違いもあり、私も毎日楽しく働けています。音楽、芸能人、ドラマなどの影響で韓国好きになったのですが、この店舗についても韓国語で名前を付けるほど。「ポラム」とは日本語で「やり甲斐」を意味する言葉です。趣味の延長的な部分もありますが、私にとっては店名通り、やり甲斐を持って働ける場となっています。

Q:アイラッシュサロンポラムの事業内容や営業形態について教えてください。

 当店が提供しているメニューは、まつ毛や眉毛のケア、施術、セットなどが中心です。基本的にご予約に合わせ、1対1で対応しています。営業時間や定休日は特に決めず、できるだけお客様の予約時間やご都合に応じて調整。早くて午前9時、遅いと午後9時ごろまで対応しています。
 お客様は学生や若い社会人の方がほとんど。若い方はリピート率が高く、一度ご来店されたうちの約8割に再来店いただいています。ただ学生の方には進学などで引っ越されるリスクもありますね。今後は主婦の方にもターゲットを広げ、来店状況を安定させたいです。
 このほか香水など、韓国コスメ製品なども販売。向こうに友人がいるので、最新の流行や注目アイテムなどを定期的に取り入れてきました。韓国は「美容大国」としても知られているので、今後も細かく情報を仕入れていきたいです。
 PRや予約受付などにはSNSを活用。メッセージ、画像、ハッシュタグの付け方などを工夫し、できるだけ動画を上げて注目を集めるよう心掛けています。

菅野さんこだわりの待合スペースには流行の韓国コスメも並ぶ
Q:ご自身が考えるアイラッシュサロンポラムの強みは、どういった点になるでしょうか。

 当店の強みとしては、技術力を挙げたいですね。まつ毛を思った通りの形に仕上げるのはなかなか大変。まつ毛パーマひとつ取っても内側にいくほど上がりにくく、1本1本に異なったうねりが出てしまうのです。均一にカールさせるには細やかな技術が必要。薬剤の調合、まつ毛に付けてからの放置時間、巻き付けの位置、上げる角度や力加減などに細心の注意を払いながら、お客様それぞれの状態に合わせて施術しています。
 そのために欠かせないのが、事前のカウンセリングです。1名様当たり15分から30分ほど時間を取り、まつ毛、眉毛、地肌の状態などを観察。写真を撮ったうえで細かく説明し、施術の方向性や狙いなどを提案していきます。
 同業他社ではカウンセリングを行わないところもありますが、当店ではしっかり観察したうえでお客様に合った施術を行ってきました。これは南相馬市のサロンで鍛えられたことが大きいですね。

Q:現在のお仕事のやり甲斐は何でしょうか。また将来に向けた計画やイメージがあれば合わせて教えてください。

 施術を終えて目を開けたお客様には「ワッ!」と声を上げて驚かれる方もいらっしゃいます。そういったお客様の様子を目の当たりにすることが、私にとって一番のやり甲斐です。
 また施術後にも最低1回はSNSなどでアフターフォローを実施。来店時には言えなかったことなどを伺うほか、周囲からの反応などについても質問しています。「やってもらってよかった」「職場で褒められた」とのお言葉をいただけると、やはりうれしくなりますね。
 南相馬市のサロンがエステなど美容業全般に手を広げたこともあり、将来的にはそういった形で展開する選択肢もあるなと考えています。とは言え、しばらくは1対1でお客様に対応する形を続けていきたいです。
 このほか韓国語についても勉強を続けている最中。私の趣味もあって韓国系サロンにしましたが、県内に同じような店舗がほとんど見られなかったことも大きかったと思います。

アイラッシュサロンポラム

住所:福島県福島市渡利舟場66-3 松令コーポA棟102
営業時間:不定(可能な限り予約時間やお客様の都合に応じて調整)
定休日:不定(可能な限り予約時間やお客様の都合に応じて調整)
駐車場:1台
TEL:090-4251-9213

取材者の声

  • 氏名: 福井佐知(フクイサチ)
  • 所属等: 株式会社日本政策金融公庫福島支店融資課

 菅野代表はガッツのある女性という印象でした。質問に対するお答えの端々から、創業への熱意が伝わってくる方です。同級生、ほかの創業者、競合店などに対する「負けたくない!」という気持ちで努力してきた方だけに、そういった姿勢こそが成功につながるポイントなのではないかと感じました。
 美容系の業種では近年、多数の女性起業家が開業されています。これから起業を考えている女性の方にはぜひ、菅野代表の経験を役立てていただければと思いました。

株式会社日本政策金融公庫福島支店融資課 福井佐知

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