独立して生きて行く手法は?
FlatNorm代表 小野夏伊(おのかい)さん

 「多才」。組織に所属しないで生きて行くということは、すべてを自分がこなさないといけない。そのためには何をどう積み重ねるか。一見、その場その場で動いているように見えますが、その1つ1つがきちんと連携し、今の独立起業へ繋がっています。

はじめまして。小野さんの経歴をお聞かせいただけますか?

 1988年(昭和63年)昭和の最後の年にいわき市で生まれ、今、34歳です。2歳から11歳までの間、ニューヨークで暮らしました。
 ニューヨークは、父親の絵の勉強のために一家で行きました。(父は画家の小野重治氏)
 小学校が終わった時点で、自分は日本に戻ったのですが、この幼少期体験は自分の生き方に大きな影響を与えていると思います。
 向こうでは「自分が何を考えているか」「自分が何をしたいのか」を表現することが当たり前です。いつの間にか子供心にもそういう習慣が身に着いたように思います。
 いわきに戻り、高校生まで生活し、東京の大学に進み、4年生の時にWebの世界で仕事をしようと思いました。

学生時代に友人と楽しんでいたゴルフ
Q:大学では何を学ばれていましたか?

 「経営システム工学」を専攻していました。経営は勉強したかったし、情報系のこともカリキュラムにありました。でも実際は、楽しい学生生活を過ごしました。
 友人と野球、フットサル、ゴルフ、スノボ、麻雀・・・運動は好きなので楽しかったです。
 でもさすがに4年になると、周りが皆「就職」と言い出しますよね。自分はギリギリまで考えない方だったのですが、さすがにそんなこと言っていられず・・・。
 どこかに「就職」して生きて行くか、自分で「独立」して生きて行くか考えました。
 恐らくどちらも「大変だな」というのは感じていましたが、どうせなら自分がやりたいことで苦労した方が納得できるかな、とぼんやり考えました。会社に入れば、やりたいかどうかに関係なくやらなくちゃいけないだろうし。

Q:それでいきなり起業したのですか?

 いいえ。その頃、丁度、SNSのFacebookやTwitterを使っている人が増えていた頃で、遠くにいる人と簡単に繋がれる、昔の知り合いと離れていても繋がれるということからWebに興味を持ち、東京でWeb系の会社に就職したのです。
 でも正直、ブラックだなと感じました。残業代もまともに支払われなくて、定時で帰ると空気が悪くなるのに嫌気が差しました。パワハラを受けてメンタルがやられている同僚もいました。すべての会社がそうとは思いませんでしたが、自分にとってはその会社での体験で、もうサラリーマンは嫌だと強く思いました。
この会社にいたのは2年ですかね。そして、いわきに戻って「営業」をやります。保険の営業です。自分で生きて行くためには「営業スキル」も必要かなと思いましたので。

お店の予約がLINEでできるChatBooking
Q:小野さんは2019年のいわきビジネスプランコンテストで「ビジネスアイディア部門 最優秀賞」を受けてますよね?

 ChatBookingですね。(https://chat-booking.com/)
 お店の予約がLINEで完結するシステムです。最初はアイディアだけだったのですが、受賞したことで「需要あるかな?」と思い、制作をしています。まだ正式版ではないβ版を、2021年9月にリリースしました。
 友達と「何か新しいサービス創らないか?」と話している時に、「予約のマッチングがLINEで完結できたら面白いんじゃないか?LINEならみんな使ってるし」と考えました。

Q:小野さんは行政書士試験にも合格しているとか。それは何のためですか?

 お話したように最初に就職した会社が超ブラックで、これは何か自分も理論武装しないとマズいなと思ったのがきっかけです。丁度、その手の漫画が流行っていたことで、興味を持ったということもあります。2回ほど受験して合格しました。
 その頃はその道も面白いかなとは思っていたのですが、今はその分野に行こうとは考えていないです。でも、法律の知識や経験値があるって、独立して生きて行くのにはとても武器になると思います。

FlatNormの公式サイト
Q:Web系で仕事をしている人は大勢います。単にホームページを作れるというのでは差別化はできないと思うのですが、小野さんのビジネスの一番の特徴はなんですか?

 技術的な面での問題解決能力だと思っています。
私たちの仕事は、Webデザイナーやその業界の企画会社から来ることのが多く、彼らは面白いアイディアや仕掛けは提案できるのですが、どうやったらそれが実装できるかまでは分からないので、私たちの出番になります。
 最終ユーザーがしたいことをどうやって技術的に可能にするか?が分かることが強みだと思います。クライアントと仕事をしているうちに、技術的な部分のニーズがあるのだなということに気が付き、徐々に今の形になってきました。

お仕事と真摯に向き合う小野さん
Q:これからの目標や夢はどんなものですか?

 実はあんまりないです。長期的で遠大な目標とかは苦手で、その時々で短いスパンで目標が現れて、それを達成すると次の目標が現れるみたいな感じです。
 今後はスタッフを揃えてチームを組み、受けられる仕事の量、幅ともに増やしたいとは考えています。

Q:最後にこれから起業する人に一言お願いします。

 「やりたいこと」がある人には、それを達成する方法はたくさんあると思っています。1つだけ試してダメだったら諦めるのはもったいない。
 自分の周りの経営者や起業家を見ていると、わがままな人が多いと感じています。逆にわがままの実現のために経営者をやっているような人が多いです。自分のやりたいことの実現のためには、自分が良い意味でわがままになれるよう武器を磨くことだと思います。

FlatNorm

住所:福島県いわき市平字田町120番地 LATOV 6F インキュベートルームP3

代表の小野夏伊さん

取材者の声

  •  その時々で判断をして仕事を切り替えているように見えますが、実は、それぞれの仕事がモザイク画のパーツになっていて、それらを組み合わせる小野夏伊という1つの存在になる、そんな感じを受けた起業者でした。
     耳に残ったのは「写真はほとんど撮りません。ゴルフの時に自分のフォームを動画で撮って後からスイングの修正に使うくらいです。写真を撮ってもあまり見返さないので。」という言葉ですね。(故にこの紹介にはあまり画像がありません)
     一日のうちで「9~12時と16~19時の6時間はゴールデンタイム。この時間は仕事に没頭したい。」
     羨ましいくらいの才能に溢れた起業者でした。

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