「介護高齢者にあったらいいなを創る」
逆境でも成長を続ける福島発スタートアップ
シニアリンク・コミュニケーション株式会社 代表取締役
遠藤 康弘さん

シニアリンク・コミュニケーション株式会社は2016年に福島駅西口インキュベートルームで創業した福島発のスタートアップ企業です。
メイン事業は、高齢者施設に訪問し、外出が難しい高齢者にもおしゃれを楽しんでもらおうと、衣類販売や理美容事業を展開しています。
「介護高齢者にあったらいいなを創る」を経営理念に掲げ、高齢者の笑顔をたくさん増やすために、東日本を中心に1,000ヵ所以上の施設を顧客として抱えています。
新型コロナウイルス感染拡大後は、高齢者施設に訪問できなくなり、売上が大きく落ち込んだものの、即座にオンラインによる接客販売やインターネット通販事業を展開し、売上回復を図っています。

衣類訪問販売事業/お買い物イベントの風景
なぜこの事業を始めようと思いましたか?

私の祖母が介護状態になったことで、近くの美容室や商店への買い物に急に行けなくなった姿を間近で見たという原体験があります。その時、介護状態になることは「社会との断絶」になりかねないと感じ、今後超高齢化社会を迎える日本において間違いなく増えるこの問題を身近に経験したことで、少しでも解決に寄与したいと思い事業を立ち上げました。
経営理念の「介護高齢者にあったらいいなを創る」という想いには、介護状態になる前はできていた「当たり前の時間」、「当たり前の喜び」を当社のサービスを通じて少しでも提供できればと考えています。

訪問理美容事業/シニアリンクサロンの風景

創業間もないころに訪問した施設で、これまで5年以上買い物に行くことができなかった入居者が、施設内に並んだ当社の商品を見て、「まさか死ぬまでにまた娘と買い物に行けるとは」や「まさか入居してもヘアカラーやパーマ、お化粧ができるなんて」と涙された方を見て、このサービスをより多くの施設に届けたいとの想いを強くしました。

Q:創業の場所として福島県を選んだ理由はありますか?

私の地元の福島県をより元気にしたいという想いがあります。私は福島県二本松市生まれで、大学から上京し、就職後は10年ほど東京、大阪、愛知を転勤しました。その頃に大都市から地方に行けば行くほど衰退している現実に危機感を感じ、生まれ育った故郷である福島で創業することで、地域に貢献したいと思いました。

「コロナ渦でも安心!接客付きオンラインお買い物イベント」の実施風景
Q:これまで苦労したことは?どうやって乗り越えましたか?

創業以来、高齢者施設を訪問してのお買い物イベント事業を通じて、施設職員や入居者の皆様からたくさんの「ありがとう」をいただくことができました。営業エリアも北は青森から、南は首都圏まで広がり、売上も従業員も順調に推移してきました。そんな順風満帆だった中、新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、大打撃を受けました。4月は衣替えの時期で、1年の中でも最も売上が見込める繁忙期だったにも関わらず、2020年は高齢者施設から買い物イベントのキャンセルが続出し、売上がほぼ0になり、会社の倒産を覚悟しました。
その時には、事務所が手狭になっていて福島西口インキュベートルームを卒業していましたが、インキュベーションマネジャーの相馬さんに相談して、コロナ融資や持続化給付金、家賃支援給付金等の各種支援制度の情報を教えていただくとともに、打開策としてのオンラインお買い物イベントの企画とメディアへのプレスリリースを一緒に考えていただきました。

本事業のリリース直後の反響がとても大きく、福島のテレビ局や新聞社をはじめ、全国紙や業界紙でも広く取り上げていただくことができました。コロナ禍によって、高齢者施設入居者は外出や家族との面会が制限されたことで、孤立感が高まり、ストレスが大きかったと聞いていましたが、本サービスにより、ご利用いただいた入居者や施設の職員の皆様を明るくすることができました。
WEB上でも接客というコミュニケーションをサービスの核としたことにより、施設の担当者の方から、「どんぴしゃだよ!このサービス」と言っていただくことができ、入居者の方からも「本当に嬉しいわ~」とオンライン上で言っていただき、買い物の楽しい時間を再現できていることに対して高い満足度をいただくことができました。このサービスの展開がきっかけとなり、これまで接点のなかった首都圏の施設とのつながりができ、コロナ渦が落ち着いたタイミングで訪問販売が実現できるなど、結果的に販路の拡大を実現することができました。
その後も、インターネット通販や、訪問美容など新たな収益の柱も育ち、コロナ禍後に立ち上げた新規事業でコロナ禍前の売上に回復するところまで立て直すことができました。

シニアリンクコミュニケーション株式会社 経営計画発表会の様子
Q:今後の展望を教えてください。

2025年に団塊世代が後期高齢者になり、今後益々当社のサービスの需要が高まると思っています。そこで、衣類や美容以外にも高齢者の方が思っている「あったらいいな」の商品やサービスを増やし、高齢者施設だけでなく地方の在宅向けにも展開していきたいと考えています。例えば、買い物難民になっている高齢者や、山間部など交通インフラが整っていない地域の高齢者にもサービスのニーズがあると思っています。当社のサービスは接客付きであるため、コミュニケーションを通じながら安否確認をおこなったり、高齢者のマーケティングデータを得ることができるかもしれません。高齢化による社会問題を解決する事業を展開する企業として発展していきたいと考えています。

ふくしまベンチャーアワード 2017 県知事賞(最優秀賞) 左から2番目が遠藤さん
Q:創業当初に西口インキュベートルームに入居してよかったことは?

コラッセふくしまという公的支援機関が集積する駅前のビルに最初から立地できたことは、事業を推進していくうえでとても利便性が高かったです。営業面や人材採用面でも非常に効果的でした。展望もよく気持ちがよかったです。
何よりも、創業間もないときに、すぐに相談できるインキュベーションマネジャーの存在が大きかったです。支援制度の情報のキャッチアップもしやすく、様々なネットワークにもつないでいただくことができました。今振り返ってみると悩んだときの相談や、自力で解決できなかったときのビジネスパートナーの紹介など、本当にたくさんのことを支援していただいたと思います。

「東北アクセラレーター2018」に採択、「SENDAI for Startups!」に選出・登壇

これまで、ふくしまベンチャーアワード2017最優秀賞、東北アクセラレーター2018採択企業、第6回ふくしま産業省特別賞など、様々な賞を受賞する機会もいただきましたが、情報が入りやすい環境で、応募するときの資料作成やプレゼンの練習などをサポートいただいたことが大きかったと思います。

Q:最後にこれから起業する方に一言。

先輩起業家として偉そうなことは言いたくないですが、起業家はおごっちゃいけないと感じています。そして、自責の念をもっていただきたいと思います。「全て起きていることは自分の意思決定によって起きている」というのが私の根本的な考え方です。他責で考えると成長しないですし、常に当事者意識を持って行動することが重要だと思います。
一方で、勉強も大事です。大量のインプットをしないとアウトプットができないです。インプットだけでなくアウトプットが重要です。そして、地方でビジネスしていく上では、やはり人と人のつながり=ネットワークが肝心です。福島から一緒に地方を盛り上げていく起業家仲間が、今後増えていったら嬉しいです。

シニアリンク・コミュニケーション株式会社

代表取締役:遠藤康弘
設立:2016年9月1日
所在地:
本社 福島県福島市新町4-19 山口ビル1F
関西支店(FC) 大阪府吹田市朝日町1番地 吹田さんくす1番館301
北東北支店(FC) 青森県青森市柳川2丁目4-19
事業内容:高齢者領域における、お買い物サポートサービス事業、マッチング事業(FC事業)、訪問美容事業
従業員数:23名(2022年7月現在)
受賞歴:
・ふくしまベンチャーアワード2017 最優秀賞
・東北アクセラレーター2018 採択企業
・ヘルスケアテクノロジーサミット2020 特集企業掲載
・第6回ふくしま産業賞 特別賞 
問い合わせ:024-573-5340 [電話受付時間 9:00〜18:00]

代表取締役の遠藤康弘さん