「うさんぐらす」が微笑む時 西野詩子さん

西野うさんぐらす商会の作業場

令和4年度の「先輩創業者の声」、トップを飾るのは福島市の「西野うさんぐらす商会」の西野詩子さんです。サイトを見ると「ハンドメイド関連の総合的な事業を行っている工房兼事業所」から「ハンドメイド起業相談等」など、多彩な事業展開です。
西野さんに「ものづくり」への思いをお聞きしました。

西野さん作のキャラクター「うさんぐらす」
Q:屋号にもあります「うさんぐらす」とは何ですか?

これは5年位前に、突然「降りてきた」キャラクターです。最初は「?」って思われたりしましたが、今や私の代名詞になり、ここ最近では月10本程度の動画を公開しているYouTubeチャンネルまであるんです!出張という名目で旅先動画を配信しています。

Q:西野さんのプロフィールやこれまでの経歴教えてください。

福島市出身です。アパレルが好きで、高校時代はアパレル関係のお店でアルバイトをしていました。18歳で進学し、音楽関係の専門学校に進学したのですが、就職しようとした際、折悪くしく就職氷河期。取りあえずの繋ぎのためにアルバイトをしていた先で知り合った人と、スピード結婚しました!それで専業主婦になりました。

Q:ものづくりが出てきませんが・・・

小さい頃からものを作るのが好きで、今では見ただけでものを作れるのが私の特技です。結婚して子どもが生まれてからは、子ども服とか小物、おもちゃも作っていました。そんなものを作っていたら、自然と注文が入るようになって、その内にハンドメイド作家の人たちと繋がりができ、一軒屋を貸し切って展示即売会、今で言うマルシェのようなことをしたりしました。
東京の阿佐ヶ谷に住んでいたこともあり、近くの高円寺などでは頻繁にイベントがあったのでよく参加しました。それから、当時はヤフオクが人気で出品していました。リカちゃん人形の服が海外の方へよく売れたのです。もうバンバン売れました。でも、その内、私が出品しているのと同じようなものを作って1/10位の値段で売る人が出てきたのです。

Q:いよいよ、話が具体的になりますかね?

そうでもないです(笑)。実はその頃、離婚をしまして、自分で食べて行くだけの稼ぎが必要になりました。ネット販売が優勢で中々うまくは売れなくなっていた中、普通のパートとのダブルワークを始めることにしたのです。クロコダイルのバッグを作っている会社から「職人募集」の情報があったので飛び付きました。

製作中の西野さん
Q:「職人」って普通は経験者募集のことじゃないんですか?

まあ、「ブラック企業あるある」なのですが、未経験者OKだったんですよ。種を明かすと「今までいた熟練職人が、みんな嫌で辞めた」というのが正解です。
そのような状況なので、少しばかり残った高齢な職人と素人集団でバッグを作るんです。
私が入社した時は同時に10人入りましたが、結局残ったのは私を入れて3人でした。
まあ、最初の条件と違うと言えば、違うことだらけで、しかも年配の職人は昔気質ですから、言葉はキツイし、「女は下働きで良い」という考え方なので、いつまで経っても私だけ下積みですよ。でも、結果的にはそれが良かったのかも知れません。川上から川下まで全部できるようになったので。

Q:そこから独立ですか?福島に戻ってきたのはどうしてですか?

私、その後、再婚しまして、夫は介護職なのですが、都会の職場で色々疲れてしまったようなんです。それで「田舎で暮らしたいなあ」と言い出しまして、じゃあ私の故郷の福島でどうだ?と。
でも実際に福島に戻ってきたら、「全国どこにいても仕事はできるなぁ」と思いましたね。仕事上で不便は感じないですね。

西野さんが制作するクロコバッグ
Q:今、力を入れていることを教えてください。

今、仕事が途切れずに来ているのは、nuit bienaimeというブランドと業務提携し、福島からの製品ということで発信しています。https://instagram.com/nuit_bienaime
ちなみに、提携商品のすべてはブランドディレクターと私が話し合ってサンプルを作り、製品にしています。また、販売会用のものは全て私を含め福島のスタッフが作っています。

Q:これから、どんな展開をしていきたいですか?

今はデザイナーになりたい人はたくさんいますが作れる人がいない。仕事はたくさんあるものの製作者の人件費ってスゴク安くて、そのあたりの問題を早急に解決したいですね。モノを作っている側の待遇が良くならないと、その業界に優秀な人が集まりません。
それとこの業界は「誰でもできる仕事」っていうのがあります。根気と器用さがあればできる仕事です。それを障がいを持った方とか、お金を稼ぎたい女性とかが行えるような仕組みを作りたいですね。短時間でもお金になるようだと助かる人が大勢いると思います。

Q:これから、どんな展開をしていきたいですか?

今はデザイナーになりたい人はたくさんいますが、作れる人がいない。仕事はたくさんあるものの製作者の人件費ってスゴク安くて、そのあたりの問題を早急に解決したいですね。モノを作っている側の待遇が良くならないと、その業界に優秀な人が集まりません。
それとこの業界は「誰でもできる仕事」っていうのがあります。根気と器用さがあればできる仕事です。それを障がいを持った方とか、お金を稼ぎたい女性とかが行えるような仕組みを作りたいですね。短時間でもお金になるようだと助かる人が大勢いると思います。

西野うさんぐらす商会

住所:福島県福島市渡利字小舟52-1
問い合わせ:love_nurse21@yahoo.co.jp

「西野うさんぐらす商会」西野詩子さん

取材者の声

  • 取材に行って、これだけ笑い転げた事はあまりないです。
    とにかく変化を好むというか、好奇心旺盛というか。
    「18歳で上京する時も、旦那を連れて福島に戻る時も常にワクワクしかなかった」という言葉が西野さんの生き方を端的に表していると思いました。
    革でも布でも、西野さんの手に掛かれば魔法のように素晴らしい作品になっていく。
    多くの外注さんを抱えて、一緒に働く従業員と共にモノを作る側の立場を向上させたいという思いに、産まれ持っての起業家気質を見ました。

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