「固定翼型ドローンは電気蛍の夢をみるか?」
「株式会社スペースエンターテインメントラボラトリー」
CEO 金田 政太さん

飛行する固定翼型ドローン

南相馬市に2020年に完成した「南相馬市産業創造センター」。工場棟を持つ県内でも珍しい創業支援施設です。そこに入居されている金田さんにお話をお聞きしました。
東京都大田区の生まれ。東京工芸大学映像学科卒。元々は広告や映像に興味があり、大学卒業後はそういう方面へ。ただその後に行った先がチョッと変わっています。月面探査ロボットを開発していた株式会社ispaceに取締役として参加。その辺から「少し変わった、でも楽しい」人生が開けてきた(かな)とのお話です。

Q:え~と、スゴイ長い会社の名前で、覚えられないんですが・・・

名は体を表すというか、私たちが扱っているのは「航空宇宙技術」全般なんです。一番高いところだと宇宙まで行く小型人工衛星など。今、一番力を入れているのは固定翼型ドローンの開発です。これは通常のドローンの何倍もの航続距離を叩き出せます。興味を持って新しいことをドンドンやって行く。自分達の技術で自分達が驚いてしまおう!(エンターテインメント)
そういった意味を込めた社名です。あ、長いので「SEL」で良いです。

水上からテイクオフする瞬間
Q:固定翼型ドローンはなんでそんなに遠くまで飛べるんですか?デメリットは無いのですか?

普通のドローンは自分自身を浮かせるための力をプロペラの推力のみで賄わないといけません。固定翼型ドローンは「大きな主翼」がありますから前進することで揚力を得られます。エネルギーの効率がとても良いんです。
確かにホバリング(空中の一点に静止した飛行状態。停止飛行。)はできないのですが、それでも運用方法を工夫すれば写真撮影等には支障はないと思っています。
問題は飛行機とヘリコプターの関係のようなものなので、離陸したり着陸するのに「滑走路」が必要なことですね。これが狭い日本だと中々難しかったりします。
なので、飛行艇型の固定翼型ドローンを開発しました。これだと湖や、河川、海など水面からの離陸や着陸が可能になるので、水域が豊かな日本には適合すると思います。

スタッフのみなさんと代表の金田さん(右)
Q:専門性の高い分野の事業だと思うので、スタッフ等を集めるのに苦労しそうですが。。。

実はうちの会社は特に若い世代のエンジニアに人気で、おかげさまでとても優秀なメンバーに恵まれています。その理由としては、国内で仕事として航空機づくりに関わりたいと考えた場合、選択肢はそんなに多くありません。例えば大手メーカーや研究機関に所属して飛行機づくりに関わる方法がありますが、ほとんどの場合は細分化された業務を何年も続けるといった状態で、それらがアセンブル(作られた部品を集めること)され実際に飛行する姿を見ることが出来るケースは稀です。
一方で私たちが作っている無人航空機は規模こそ小さいものの設計から製造、試験飛行をさせるところまですべてに関わることが出来ますので、非常にやりがいを感じることが出来ると思います。

Q:なぜに南相馬へ?

これはもう実験がしやすい環境があるからですね。ここでは思いっきりやらせてもらえています。首都圏にはやはりそれはないです。
もう1つ。行政がワンストップで対応してくれるんです。我々も実験しようとすれば、色んな所に色んな申請を出したり、お伺いを立てたりしなければなりません。慣れていない行政だと何か所もタライ回しに遭ったりします。で、結果解決しなかったり。
ここは県も市もその担当があって、そこに相談をすれば親身に伴走支援をしてくれます。
地域としても、すごく気に入ってます。今日は娘を連れて蛍を見に行く予定なんですよ。昨年生まれたばかりの娘で、子育てするならば東京じゃない方が良いなあと思ってます。

固定翼型ドローンからの映像
Q:南相馬移住計画?

本気で考えていますね。妻が東京でバリバリ仕事していたり、母も東京に居たりと、ハードルは幾つかありますが。
会社もこちらに本社を移そうかとも思っています。でも、手間はかかる作業なのでついつい後回しにしてしまっているんですよね。(⇒「そこは南相馬市産業創造センターが対応します」と支援者の声)

Q:そんなSELの当面の目標は?

ドローンを人に役立つ機械にして行きたいと思います。それと先にも挙げましたが「自分達が自分達の技術に驚く」ような会社にしたいです。最初は「人を驚かそう」だったんですが、「自分達を驚かそう」に進化しました。
ここは、隣がテクノアカデミー浜という県立の職業能力開発校(短期大学校)なんです。こことの連携はしたいですね。生徒さんの技術レベルも高いですし、実践的な取り組みもされています。実際に飛ぶ飛行機の部品を試作したりもしているんです。なので将来的には、卒業生を受け入れられるようにしたいなとも考えています。

Q:最後に、これから起業したいという方に何かアドバイスをお願いします

「失敗しても大変なことには大抵ならないので、やりたいと思ったことをやって欲しい」と思います。思った通りにならないのは人生当たり前なので、その時に選択したことを大切にして、思い通りにならなくても続けて欲しいと思います。

株式会社スペースエンターテインメントラボラトリー(SEL)

住所:福島県原町区萱浜巣掛場45-245 南相馬市産業創造センター B棟
問い合わせ・ホームページ:http://www.selab.jp/jp.htmlのcontactからお願いします

金田 政太さん

支援者の顔

  • 氏名:木村浩之 (きむら ひろゆき)
  • 所属等:株式会社ゆめサポート南相馬
  • 支援可能な地域:南相馬市、相双地域(メールやSNS等での支援は全県可能)
  • 実績等:南相馬市役所職員として勤務。在職時に東北地方で初の地方自治体所有光ファイバーの空き回線活用通信環境拡大施策のリーダーとして活動。
    令和2年度より株式会社ゆめサポート南相馬取締役所長に就任。南相馬市内を中心に、経営支援・起業支援などを行っている。
    南相馬市は「ロボットの町南相馬」を目指し、ベンチャー企業の誘致などを進めています。現在も多くのロボット関係の企業が南相馬市に進出しており、市内でもロボットが活躍しているところを見ることができます。20年後の日本を見たい方是非南相馬市においでください。
  • 参考:南相馬市産業創造センター https://mic-info.org//