SUZU 農家レストラン
鈴木敬行よしゆきさん・侑香ゆかさん

「起業ユニット」
ご夫婦二人で対話しながら創る起業の形

今回は夫婦で起業された福島市飯坂町の鈴木敬行(よしゆき)さんと侑香(ゆか)さんです。お二人は主にアスパラガスを生産販売する「すずよし農園」と令和2年4月に開業した「SUZU 農家レストラン」という2つの事業をお二人だけで起業した仲良し夫婦。いわゆる「半農半X」を地で行くお二人の「夫婦で起業する時のコツ」をお聞きしました。(文中の「敬」は敬行さん、「侑」は侑香さんです)
※半農半X・・・自給規模の「農」と「生きがいとなる仕事=X」を両立した生活のあり方。

Q:そもそも、どうして起業しようと思ったのでしょう?

侑:私たちは二人とも将来漠然と自分の店を持ちたいと思っていました。私は自分のカフェで接客をしたい。
敬:私は元々料理が専門で、福島市内のレストランで料理人として働いていました。ゆくゆくは自分の腕を振るえる店を持ちたいと思っていました。

Q:夢を実現できる人は多くはないと思います。起業までの流れを教えてください

侑:具体的に考え出したのは、震災の頃ですから9年前位だと思います。夫の実家である果樹農家を継ぐという話になり、私達2人で「農業後継」を目指しました。農業の後継には自治体からの支援制度があり一定の条件を満たした場合に補助があります。
敬:ただ、その制度を活用するためには「新しいことにチャレンジする」のが必須条件となり、単に実家の果樹農家を継ぐだけでは対象になりません。そこで「商品化の可能性が高いもの」と考えアスパラガスの生産を決めました。
侑:ところがアスパラガスは3年目にならないと商品価値のあるモノができません。このため、2年間は主人の実家に入って果樹農家の後を継ぎ、3年目から「すずよし農園」を始動させました。
敬:農業を始めた頃は正直店をオープンしようとは思っていませんでした。ところが「今まで農業だけでやってきた人と拮抗して事業をやっていくからには、何か違うことをしないといけないんじゃないかな。」という思いが生まれてきました。その形の一つが、この「SUZU 農家レストラン」です。

Q:毎日経営をされる中で、これは大事と思うことは?

侑:事業の計画をとにかく2人で作ります。徹底的な話し合いを2人が納得するまで行います。2つの事業を2人だけで行っているので、時間が足らなくなる恐れがあります。そのためにも綿密な計画は必須だと思います。
敬:農家はどうしても「作ること」が1番になりがちですが、良いものを作るのは当然であって、その「売り先を見つけることが一番大事」だと思っています。

Q:「半農半X」という形は、これからの生き方のスタイルとして最近のキーワードとしても注目されていますが、2つの事業を同時に行っていくメリットやデメリットを教えてください

敬:農業とレストラン経営は違う仕事ではありますが、私は「食に関わる事業」としては同じだと思っています。1本の川の川上と川下と考えてもらえば、特に違和感はありません。確かに時間のやり繰りは大変ですが、それはわかっていることです。
侑:メリハリはつけやすいですね。ずっと農業をやってると、どうしても自分のペースになりますが、お客さんを迎えるとなるとシャキッとしますね(笑)。また、農業だけでは会話が少なくなり、一日誰とも話さないこともあります。そうなると今度は売りに行ってもコミュニケーションが上手く取れなかったりします。

Q:これから起業しようという人に対して何かアドバイスをお願いします

敬:あんまり知り過ぎると行動できなくなるかもしれません。好きだからという気持ちで始めてみる。壁にぶつかったら2人で徹底して話し合って乗り越える。
侑: 全ての夢がすぐに叶うとは思わないで、地道にコツコツと。周りの理解を得る努力も大事だと思います。それから「貯金や夢を叶えるための投資のほか、資金調達の仕方を調べておく。」などお金がないと始まらないことは確実にあります。そのために「身の丈に合った生活をするが、交際費はケチらない。」だと思います。

Q:今後の抱負や計画など教えてください

お二人:実はレストランに加え加工場も併設しています。まだ許可は取れていないのですが、ゆくゆくは加工場も稼働させたいと思います。そのままでは出荷できない果樹が多く発生するので、その商品化を事業として取り組みます。また、アスパラガスは春から夏がシーズンなので、秋になると空き時間ができてきます。そうしたらレストランを夜も営業してアルコールも提供したいし、営業日も増やしていきたいです。

支援者の顔

  • 氏名: 新城榮一(シンジョウエイイチ)
    (JBIA認定シニアインキュベーションマネーシャー)
  • 所属等: 福島駅西口インキュベートルーム 統括マネージャー
  • 支援可能な地域: 県内全域
  • 実績等:自身が多くの起業体験・企業経営を行っており、だからこそできる“知見深く論理的で活きたアドバイス”が支援している企業の事業継続と成長を促してきた。
    これまでに東北大学大学院経済学研究科特任准教授、福島県立医科大学復興推進課経営アドバイザーなどを務め、現在は(一社)日本ビジネス・インキュベート協会(JBIA)理事・事務局長に就任している。創業・ベンチャー国民フォーラムJapan Venture Awards 2008起業支援家部門奨励賞受賞。第1回スタートアップ・アドバイザー・アワード審査委員特別賞受賞。
  • 参考: 福島駅西口インキュベートルーム https://incu.jp/

SUZU 農家レストラン
  • 営業日時: 毎週金曜日と土曜日 11:00~17:00(4月~9月)
  • 住所: 福島市飯坂町字十網下8-12
  • TEL: 090-6682-5190(農作業中は出られないので、
    折り返しお電話をさせていただきます)
  • Facebook: https://www.facebook.com/suzu.farmers.restaurant/

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