(1) 起業のアイデアを考えよう

一般社団法人グロウイングクラウド 代表理事 三部香奈

だれのために、どんな価値を提供するのか

 一般社団法人グロウイングクラウド代表理事の三部香奈です。初回は私から起業時のアイデアについてお伝えします。
 世の中には多様な商品やサービスがありますが、どの事業者も「だれかのために価値を提供し、その対価を得ている」からビジネスとして成り立っています。だからこそ事業のアイデアは「だれのために、どんな価値を提供するのか」を考えることがポイントなのです。
 人が価値を感じるのは、「利益を得られるとき(ゲインポイント)」と「不満や不便が解消されるとき(ペインポイント)」の2通りに分けられます。
 特にペインポイントはお金を払ってでも解消したい悩みなので、新事業のヒントになりがちです。つまり日常での不便さを解決するため、どんな商品やサービスがあればいいのかを考えるのがアイデア出しなのです。
 ちなみにこのサイトで紹介されているaveic合同会社が創業されたのも、自転車店での違和感がきっかけだったそうです。

引用:Strategyzer

具体的なターゲット顧客を想定して考える

 事業アイデアを考える際に注意したいのは「独りよがりにならないこと」です。自分でいいと思っても、他人が価値を感じてくれるとは限りません。ターゲット像(できれば実在する人)を具体的に想定し、その行動パターン、感じていること、考えていること(心の声)をゲインポイントとペインポイントに分けて想像してみましょう。
 その際にオススメなのが「バリュープロポジションキャンバス」という手法です。
 想定顧客のゲインとペインを書き出したうえで、それらを実現できる商品やサービスの機能や特徴を考えます。さらに、その商品やサービスがどんな顧客価値(お客様がうれしいと感じること)を生むのかも言葉にしておくことが大切。その顧客価値こそが、あなたの強みになるからです。
 この手法でアイデア出しをする際は幅広い人々から客観的な意見をもらえると、自分1人では気付けなかった視点や考えを得ることができます。

アイデアをビジネスモデルに落とし込む

 だれに、どんな価値を提供するかが決まったら、ビジネスモデルを考えます。ビジネスモデルとは「事業が利益を生み出す仕組み」です。どんなにいいアイデアがあっても顧客に売れなければビジネスは成り立ちませんし、そのアイデアを事業化するために必要な資金、技術、体制などがそろっていなければ事業を始められません。
 事業を始める前には「その商品やサービスを必要とする顧客はいるのか」「その事業は実現可能か」「持続可能か」を見極めることが大切です。そのためのツールとして「ビジネスモデルキャンバス」があります。これはビジネスモデルに必要な顧客セグメント、価値提案、顧客との関係、チャネル、活動内容、リソース、パートナー、収入、コストの9要素を俯瞰して考える手法です。ビジネスモデルがまとまったら、次は収支計画や行動計画などを盛り込んだ事業計画書を作成してみましょう。

 

起業アドバイザーのプロフィール

  • 氏名:三部香奈(サンベカナ)
  • 所属等:一般社団法人グロウイングクラウド代表理事、株式会社ケイリーパートナーズ代表取締役CEO、税理士法人三部会計事務所企画室室長
  • 支援可能な地域:郡山広域圏
  • 実績等:大学卒業後、地元新聞社で社会部、スポーツ、政治経済記者などを歴任。結婚を機に会計事務所に転職し、広報やセミナー企画などを担当。2011年の東日本大震災をきっかけに、地域課題を解決するための起業家支援を行う一般社団法人を設立し、コミュニティーマネージャー、ファシリテーターとして、コワーキングスペースの運営や人材育成の場づくりにも取り組んでいる。自分自身の子育てと仕事の両立経験を基に、多様な働き方を認め合える企業風土の必要性を感じ、2hours鷲谷恭子氏らとケイリーパートナーズを設立。ワークシェアリング、テレワーク、外部人材活用など新しい働き方にチャレンジ中。2021年度第20回女性起業家大賞「特別賞(グロース部門)」受賞。
  • 参考:
    コワーキング&イベントスペースco-ba koriyama https://co-ba.net/koriyama/
    一般社団法人グロウイングクラウド https://glowingcloudkoriyama.jimdofree.com/
    キラっ人ふくしま女性活躍応援ポータルサイト https://www.kiratto-fukushima.jp/prelusion/prelusion.html?id=70&mode=&key1=&key2=&key3=
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