(6) 起業の成功率はどのくらいか

福島駅西口インキュベートルーム 統括マネージャー 新城榮一

起業者のうち約8割が5年間継続

 福島駅西口インキュベートルームの新城です。ひと区切りとなる今回は気になる起業の成功率について、再び私がお伝えしていきます。
 2017年版の中小企業白書によると、起業5年以内失敗率は18.3%だそうです。統計手法にもよりますが、私の周囲では「1年以内に3割が断念して5年で半数が辞める」「10年残るのは10%」とよく言われていました。実態はもう少し緩いと思いますが、5年で2割というラインは感覚的にも腑に落ちます。
 しかしながらこの確率は「最初にビジネスモデルをしっかり作り込む」「失敗しやすい創業期に明確な支援策を得る」といった対策で大きく改善することが可能です。設立20年を超える福島駅西口インキュベートルームでは事業継続率が85%を超えてきた状況。これまでの支援手法が正しかったととらえています。実際にご相談いただければ、起業前後の数年間にわたる支援を体感していただけるでしょう。

失敗事例に多いのは「独りよがり」

 ちなみに失敗時にも傾向があり、これまで見てきた中では「独りよがり」が多いようです。自分1人の知識や力だけでは、とても事業を成立させられません。起業時にはまず、その点を理解すべきだと思います。
 独りよがりにもいろんなパターンがありますが、たとえば「会社員としてこの仕事を担当してきたので技術や経験なら誰にも負けません」というタイプには「そもそもその仕事が世の中に必要なのか?」を考えていない方が見受けられます。またターゲットがピンポイント過ぎる場合などには「少しポイントは違うかもしれませんが、こういう形にしたらどうですか?」と提案していますが「それは私が本来やろうとしていることと違う」と断られることも。市場、顧客、提供する製品やサービスの価値をしっかり見定めずに起業すると、失敗する可能性も高まるので注意すべきでしょう。

アイデア段階からの相談がベター

 起業を失敗させないためには信頼できる支援者を見付けることが重要。たとえば県内の創業支援施設にいる起業アドバイザーたちは、過去にいくつもの創業案件を経験しています。そんな支援者と起業前に十分話し合い、どんな準備が必要なのか、手順は適切なのかを頭に入れてスタートしてください。支援者はその後も一緒に進んでくれることも忘れずに。
 起業を考えている方には「まだアイデア段階で相談できるレベルじゃないんです」と話す方も多いのですが、アイデア段階から相談した方がベターです。アイデアから実際のプランを組み上げていく際も、起業アドバイザーと相談しながら進めた方が遥かに効率的。1人で考えるより、プランの精度も高まると思います。
 その際はビズスタふくしまの「先輩創業者の声」も参考になるはず。幅広い事例が載っているので、気になる方がいればコンタクトを取ることも可能でしょう。

 

起業アドバイザーのプロフィール

  • 氏名:新城榮一(シンジョウエイイチ)
    (JBIA認定シニアインキュベーションマネージャー)
  • 所属等:福島駅西口インキュベートルーム 統括マネージャー
  • 支援可能な地域:県内全域
  • 実績等:自身が多くの起業体験・企業経営を行っており、だからこそできる“知見深く論理的で活きたアドバイス”が支援している企業の事業継続と成長を促してきた。これまでに東北大学大学院経済学研究科特任准教授、福島県立医科大学復興推進課経営アドバイザーなどを務め、現在は(一社)日本ビジネス・インキュベート協会(JBIA)理事・事務局長に就任している。創業・ベンチャー国民フォーラムJapan Venture Awards 2008起業支援家部門奨励賞受賞。第1回スタートアップ・アドバイザー・アワード審査委員特別賞受賞。
  • 参考:福島駅西口インキュベートルーム https://incu.jp/
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