(2) どんな事業で起業するか決めよう(前編)

一般社団法人産業サポート白河 相談員 佐川盟子

経験の有無より好きかどうかが大事

 一般社団法人産業サポート白河の佐川盟子と申します。前回は「まずは起業の成功例を探そう」でした。「成功」の定義は人それぞれだと思いますが、ここでは「利益が出て、事業が継続していること」として考えてみます。
 成功例の傾向としてはまず「自身の経験を生かした事業での起業」という点が挙げられますが、理美容サロンや飲食店が分かりやすいのではないでしょうか。経験を積みながらお金を貯めて自分のお店を持つ…という形の独立起業です。また経験はなくても、得意分野や好きなことで起業している方も大勢いらっしゃいます。
 「創業者インタビュー」で紹介されたBlooming Cafeの白岩麗奈オーナーは、飲食店経験ゼロながらカフェめぐりが好きだったそうです。しかし好きなことを選ぶだけでなく、身近にある不便なことや困りごとに目を向けることも重要。いわゆる地域課題を解決するサービスや商品であることも、成功のカギだと思います。

身の回りの不満や不便こそ事業の種

 次に、起業を希望していても何がやりたいか決まっていないケースについて考えてみましょう。起業を考える際には、自分の棚卸をするとやりたいことや事業のアイデアが見付かるかもしれません。棚卸の項目は、創業の動機、いままでの経験、好きなことと嫌いなこと、得意なことと苦手なこと、不満や不便に感じていること、収入はいくらぐらい必要か…などです。書き出してみると自分の強みや事業の種のようなものが見えてくると思います。不満や不便を感じることは、それを解決する事業の種。また自分の強みは、やがて「競合他社との違い」となってゆくものなのです。
 事業のアイデアが決定したら、コンセプトを固めます。事業コンセプトをひと言で表すと「誰に、何を、どうやって」となります。お客様は誰か、お客様のニーズは何か、お客様にどう伝えるのか。コンセプトを基に、現時点での簡単な事業計画書を作ってみてください。

事業が不調なときも熱心でいられるか

 事業計画書については、この起業アドバイザーコラムの後半で取り上げる予定です。ぜひそちらの回もご覧いただければと思います。
 ここではそのさわりにだけ触れますが、事業計画書を書き出したら、その内容を見ながら「自分がどうありたいか」「なりたい自分とズレていないか」についてチェックしてください。大切なのは、あなたが楽しいと思えるか、周囲から「あなたらしい」と言われるような事業か…という点です。
 また順調に起業できた方でも、環境の変化などによって事業が上手くいかなくなることがあります。そういったときこそ起業の正念場です。自分の事業に熱心に向き合い、困難を乗り越える気持ちを保てなければ事業を続けることは難しいでしょう。

 

起業アドバイザーのプロフィール

  • 氏名:佐川盟子(サガワメイコ)
    (JBIA認定インキュベーションマネジャー)
  • 所属等:一般社団法人産業サポート白河相談員
  • 支援可能な地域:主に福島県白河市・西白河郡・東白川郡
  • 参考:一般社団法人産業サポート白河 https://sangyo-support.jp
  • 一般社団法人産業サポート白河 相談員 佐川盟子