(5) 必要な知識を事前につかんでおこう

公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会 事業係主事 柴田恵美

起業時にはまず事業の専門知識が不可欠

 公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会の柴田恵美です。5回目のテーマは「必要な知識を事前につかんでおこう」ということで、私からは起業する前に身に付けておくべき知識についてお話ししたいと思います。
 起業する際、単に会社を作るだけなら外部の専門家などに依頼して有償で立ち上げられるはずです。しかし十分な経営資源がない場合、少なくとも自身の事業の支えとなるスキル、資格、ノウハウはある程度整えておく必要があります。
 取り組もうとするビジネスは、やはり基本的に「経験やノウハウがある事業、業種、業界」であり、自信を持って始められることが望ましいでしょう。さらに自社事業については最低限、自分で回せるだけのスキルが欠かせません。それが身に付いていないと、起業者自身で事業を回していくのは難しいと思います。

会計知識と決算書読み書きスキルも重要

 また起業者には、最低限の会計知識と決算書を読み書きできるスキルも望みたいところです。取引先との商談でも、営業利益、流動資産、キャッシュフローといった言葉が少なからず出てきます。税金や会計の知識は、インボイス制度対応、財務状況把握などにも必要です。また将来、融資を受ける際などに経営者自身が決算書類の数字を説明できないと、金融機関への心象もあまりよくありません。できれば簿記3級程度の知識を学んでおきたいところです。
 経理担当者や顧問税理士に任せることもできますが、起業者の時間と労力を節約できる半面、人件費や顧問料など相応の経費が掛かります。しかし支援機関や商工団体による専門家派遣サービスなどを活用すれば、無料または比較的安価で相談することも可能です。将来的には顧問の先生にお願いするとしても、起業時には資金が不足しがちなだけに、こうした公的制度を活用することもお勧めします。

知識だけでなく相談相手もいれば有効

 このほか事業計画の作成ノウハウも重要です。事業計画は融資を受けるときだけでなく、その事業の善し悪しを客観的に判断する際にも役立つ資料となります。財務や資金繰りの内容を中心に、支援機関や商工団体の専門家に評価してもらえればさらに充実するはずです。冷静な目でブラッシュアップしていただきましょう。
 起業者には知識だけでなく、心の支えや相談相手となる身近な先輩経営者を見付けることも大切です。起業者も人間なので、事業を営んでいれば落ち込んだり孤独感に襲われたりすることもあるでしょう。そんなときに身近に信頼できる先輩がいれば、困難な状況の打開策や経営のヒントなどを学ぶことができるはずです。
 最後に、このサイトに掲載されているFlatNormにも触れておきましょう。小野夏伊代表は事業の専門知識のほか、営業スキルや法律の知識なども事前に習得された方です。起業に向けてしっかり準備された点を参考にしていただきたいと思います。

 

起業アドバイザーのプロフィール

  • 氏名:柴田恵美(シバタエミ)
  • 所属等:公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会 事業係主事
  • 支援可能な地域:主にいわき市
  • 資格等:JBIA認定インキュベーションマネジャー
  • 参考:
    公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会 https://iwaki-sangakukan.com/
  • 公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会 柴田恵美